すっくんです。
芸術はお好きでしょうか? 今回はピカソ作の『ゲルニカ』という1枚の絵画が主役の小説をご紹介させていただきます。
著者は原田マハさん。原田マハさんとは言えば美術を題材にした小説で有名ですよね。ご自身も美術館で働いていた経験があるとのことで、だからこそこんなに魅力的な作品を生み出せるのだろうなと思います。 ニューヨーク近代美術館で働いてらっしゃったこともあるそうですよ!MoMAですよ!あのMoMA!
もちろん美術系以外の作品の面白く、一本筋が通っているというか”芯のある強い女性”がどの作品でも描かれている印象があります。(原田マハさんの小説全部読んだことがあるわけではないんですけどね(笑))
【暗幕のゲルニカ】のゲルニカの主人公も美術への情熱が半端ない強い女性です。MoMAで働いている彼女は原田マハさん自身と通じるものがあるのかな?では!まずはあらすじです!
あらすじ
ニューヨーク、国連本部。イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後から、「ゲルニカ」のタペストリーが消えた。MoMAのキュレータ ー八神瑤子はピカソの名画を巡る陰謀に巻き込まれていく。故国スペイン内戦下に創造した衝撃作に、世紀の画家は何を託したか。ピカソの恋人で写真家のドラ・マールが生きた過去と、瑤子が生きる現代との交錯の中で辿り着く一つの真実。
(Amazonより)
【暗幕のゲルニカ】はニューヨークMoMAのキュレーターである主人公の”八神瑤子”が反戦のシンボルである『ゲルニカ』をもとめ奔走する2003年と、スペイン内戦中にパリで『ゲルニカ』を作成するピカソが生きる1937年とが同時に進行していきます。
2003年、アメリカのイラクへの攻撃宣言の場で米国務長官の背後にあるはずの「ゲルニカ」の”タペストリー”がない。2001年アメリカ同時多発テロで最愛の夫を亡くしている瑤子はこれに驚愕します。というのも「ゲルニカ」はスペイン内戦の空爆によって阿鼻叫喚の地獄と化した事態の象徴であり、ピカソが戦争をやめない人類に突き付けた一作であることを熟知していたのもまたテロの被害者家族であり、ピカソに最も詳しい研究者ともいわれるようになった瑤子だったからです。しかしそんな瑤子のまわりにはなぜかメディアが集まります。
国連の戦争宣言の背後に「反戦のシンボル」である『ゲルニカ』があるのはいくら何でもまずい。といち早く気づいたのはピカソ研究の権威であるヨーコ・ヤガミ。彼女がホワイトハウスに助言し、イラク攻撃会見前に国連に展示してある『ゲルニカ』を撤去あるいは間に合わないのであれば”暗幕”をかぶせるように指示した。とのデマ情報が流れたためです。瑤子はこの”暗幕のゲルニカ”騒動の「スケープ・ゴート」にされてしまったのです。そして現『ゲルニカ』のタペストリーの所有者であるロックフェラー家 MoMA理事長ルース・フェラーも瑤子と同じく”暗幕のゲルニカ”事件の黒幕と噂されてしまいます。
そしてのルースの推測では本当の黒幕はホワイトハウスであり、イラク攻撃宣言の邪魔になる『ゲルニカ』に所有者であるルース・フェラーに黙って暗幕をかけた、これに激怒したルースは直ちに『ゲルニカ』のタペストリーを国連から没収すると決断する。
しかしこれに戸惑うのはまた瑤子。なぜなら彼女は「ピカソの戦争:ゲルニカによる抗議と抵抗」という展覧会を計画の最中であり、この展覧会には『ゲルニカ』のタペストリーが必要不可欠だったためだ。
しかし落胆する瑤子にルースは告げる。
「マドリッドに行きなさい、ヨーコ。タペストリーなんかじゃなく、本物の〈ゲルニカ〉をニューヨークへ連れて帰るのよ。そして、MoMAで展示するのです。」
(【暗幕のゲルニカ】本文より)
こうして瑤子の『ゲルニカ』を追う旅が始まった。
読みどころ
瑤子のホンモノのピカソを巡る旅もスリリングで面白いのですが、私はむしろ1937年のピカソのストーリーに引き込まれました。1937年パートではピカソの恋人で自身も芸術家で写真家であるドラ・マールという女性の目線でピカソが掛かれています。皆さんもピカソの絵と彼自身は写真家何かで見たことあると思いますが彼がどんな性格でどんな思いで絵と向き合っていたかはわかりませんよね?この本では美術に造詣の深い原田マハさんだからこそ描かれる”ピカソってこんな人”がわかります。
実際の史実に基づいた話も混ぜられておりますので、どこまでが真実でどこからか虚構なのかわからない。むしろすべて本当のことなのではないかと思わされてしまいます。
また2003年と1937年に生きる全くベつの時代の別の女性が種類の違う思いでピカソを思っている、これが長い過去と現実をつなげているようですごくロマンチックに感じられます。
まとめ
美術系の原田マハさんの作品は美術に関心がなかった私でも十分楽しめるのですが、作中に出てきた作品を実際に見てみたいとも思わせてくれる。本当にこの人はすごいなぁと毎度思わされます。
何か趣味を作りたい。美術に関心持とうかなという人。美術入門編としてこの本はいかがでしょうか?