突然ですが、暇すぎ店長すっくんはもうすぐ31歳になります。
30歳になったときには何も感じるものはなかったのですが、30歳になって1年たった今はなんだかすごく年を取った感じがしております。
昔は「学生の頃はよかった」などと大人が口にしており、何を言っているんだろう、って感じでしたが、今は「学生の頃に戻ってみたい」と思うこともしばしば(笑)今だったらもっと違った学生生活が送れるのでは?とか考えたりね。
というわけで今回は【氷菓】です。私の大好きな作家さんである「米澤穂信」さんの作品で、2001年に刊行されたシリーズ物です。とある高校の古典部が舞台のため”古典部シリーズ”と言われています。【氷菓】はシリーズ1作目です。シリーズ2作目以降も今後紹介できればなと思っております。2012年にはアニメ化もされており知っているひとも多いのではないでしょうか。
ジャンルとしては学園もの、ミステリ、かな。でも殺人や誘拐とか警察が動くような派手な事件はおきません。でも面白いのです!ちゃんと推理があるミステリなのです!そんな【氷菓】の魅力をお伝えできればとおもいます!
【氷菓】あらすじ
「やらなくてもいいことはやらない。やらなければいけないことなら手短に」が信条の 「折木奉太郎」。自らを”省エネ主義”と語るこの主人公はもうすぐ入学を向かえる神山高校でも部活動には所属せずフツーの高校生活を送るものと思われていた。しかし「奉太郎」とは対極に世界中を飛び回っている姉「供恵」から、彼女も所属していた”神山高校古典部”が部員数ゼロになるため廃部寸前、なので「奉太郎、古典部に入りなさい」という命令のごとく手紙が届く。「奉太郎」は姉に逆らえないのです。というわけで「奉太郎」は古典部に入部します。
これには情報通の親友「福田里志」もびっくり。しかし「奉太郎」はそれほど嫌ではない様子。というのも、部員ゼロの古典部に入部するということは部員は「奉太郎」”1人”。放課後に1人でゆっくり本を読める環境が得られるというのはむしろ好ましい。と考えたわけです。
早速。興味本位でついて来た「里志」とともに部室に鍵がかかっていた。顧問から鍵を受けとり部室に再び向かい鍵を解錠。しかし部室の中にはひとりの女子生徒が立っていた。
「千反田える」、彼女も古典部に入部したのだそう。「奉太郎」の思惑むなしく部員が2人になってしまいます。それでも「奉太郎」からすれば「やらなくてもいいことはやらない。やらなければいけないことなら手短に」の考えを理解し、「奉太郎」の平穏な学園生活の邪魔をしてくれなければそれで良いのです。
しかし「える」、彼女が「奉太郎」の思惑を見事に打ち砕く存在だったのです。
自身の省エネ主義に反して「える」の謎解きに協力するはめになる「奉太郎」。こうして「奉太郎」の薔薇色?の高校生活が始まるのです。
読みどころ
一度気になったら解決せずにはいられない性分の「える」と、やらくてもいいことはやりたくない「奉太郎」の組み合わせが面白いですよね。古典部には二人のほかに先ほど登場した「奉太郎」の親友の「里志」、「奉太郎」と「里志」と同じ中学校卒で「里志」に思いを寄せる「伊原摩耶花」も入部します。おもに「える」がトリガーとなって「奉太郎」はもともと備わっていた”推理力”を発揮させざるを得ない日々を送ることになります。冒頭でもふれましたが、この物語では殺人などの物騒な事件は起きません。
・なぜ「える」は部室に閉じ込められたのか
・図書館にて、需要のない大判書籍がなぜ毎週金曜に駆り出されるのか
・古典部で代々作られている文集の名前がなぜ「氷菓」なのか…etc
とまあこんな具合です。日常でもありふれたことで、きっと私たちの周りでも起こっているようなことばかりです。そもそもこの程度のこと気にもしてないよってことが「える」が気になったばかりに”推理のもと”になるのです。これがおもしろい!しっかりとした推理になっているのです!ネタばれになるかもなので多くを語れませんが、身の回りにあふれているちょっと不思議を真剣に考えることでミステリに昇華させていることが【氷菓】のすごいところなのです。
まとめ
冒頭でふれましたが「学生のころにもどってみたい」と考えとき、私はたびたび【氷菓】を思い出します。彼らは特に目標にもなく学校生活を送っています。そこに「える」の「きになります」が少しスパイスを加えて、ありふれた中にほんのちょっとの非日常が感じられ、自分もこんな高校生活を送ってみたかったなと思えてしまいます。
このほかにも古典部4人の10代ならではの心理描写や成長も見られ、読み応えは抜群です。タイムスリップはできないかもしれませんが、【氷菓】を読んで、少し変わった”古典部”の部室を覗いてみてはいかがでしょうか?