ミステリ

先輩もこの一件を「ホンモノ」と言っていた。桂谷峠には何かある。何かがいる。【満願】

満願

それでは早速、記念すべき初投稿すっくんのお気に入りの本をご紹介!             時間があまりやすい今おすすめなのが米澤穂信さん著書「満願」です。ミステリー小説が好きな私は米澤穂信さんの大ファンなのですが、「満願」は米澤穂信さん著書との出会いのきっかけとなった1冊です。                             普段小説は文庫本しか買わない私ですが、こちらは立ち読みして20分でぐんぐん引き込まれたため文庫化を待てずに即買いしました。我が家で数少ないハードカバーです(笑)

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「満願」は全6篇からなる短編小説集です。                     米澤穂信さんといえば学園ものや青春ものからファンタジーや本格ミステリーまで幅広い題材を扱われていますが、これは本格ミステリー部類に入るかな?短編小説のいいところはページ数、ひいては文字数少なくサクサク読めるところですよね。それゆえに他の短編小説は合間に箸休め的な話があったり、自分の好みと違うものが混ざっていたり個人的には読破後に感じる当たり外れが多いカテゴリーと思っています。しかしこの「満願」はミステリーファンであればまず間違いなく全話当たりの印象を持つのではないでしょうか。

「満願」で描かれる6つのストーリーは登場人物も時代背景もバラバラでそれぞれに関連性は皆無です。また6つのストーリーすべてが本当によくできている!6つのショートフィルム映画を気づいたら一気見していたような感覚です!どのストーリーがお気に入りか仲間内で意見交換しあうのも楽しいかもしれませんね。

私のお気に入りは”関守”というお話です。語り部は「俺」というフリーのライター。彼のもとに”都市伝説でムックを作るから、1つ記事を書いてほしい”という仕事が舞い込みます。コンビニの本コーナーに置いてあるようなアレですね。都市伝説に無関心だった「俺」は、この手のテーマに強い先輩ライターに「静岡県のとある峠で、不可解な自動車事故で連続して亡くなっている」というネタをもらい、取材のために通る事故現場付近の茶屋で「おばあちゃん店主」と「おばあちゃん店主」から話を聞いていくうちに真相に近づいていく..が?というお話です。このお話では主な登場人物は「俺」と「おばあちゃん」の二人だけです。”関守”は75ページあるのですが、60ページ目くらいまでは流行らないお店の暇な店主である「おばあちゃん」の昔話に付き合っているだけのような淡々とした展開が続きます。しかしながら最終60ページ以降!一気に事件の真相に近づき「俺」と「おばあちゃん」の持つ空気の変容が読者を知らずのうちにミステリーの渦に飲み込んでしまいます!寒気すら感じるような読後感は快感ともいえるかもしれません。 

とまあこんな具合にとにかくおすすめしたい1冊です!時間を忘れて、少し背筋がひんやりするような読後感を味わいたいあなた。「満願」読んでみてはいかがでしょうか?

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すっくん
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